朝、なかなか起きてこないお子様を見て、こんなことを思ったことはありませんか?
「怠けているんじゃないか」
「気持ちの問題では?」
「もっとしっかりしなさいと言うべきか…」
でも実は、お子さんは「起きたくても、体が言うことを聞かない」状態にあるのかもしれません。
それが、起立性調節障害(OD:Orthostatic Dysregulation)という病態です。
起立性調節障害とは?
起立性調節障害は、自律神経の機能が乱れることで、
立ち上がったときに血液が下半身に留まり、脳や上半身への血流が一時的に低下する状態です。
主に小学校高学年から中学・高校生の思春期に多く見られ、日本では約100万人の子どもが罹患しているとも言われています。
よくある症状として、次のようなものがあります。
- 朝、なかなか起きられない(起こしても頭痛や吐き気でつらい)
- 午前中はぼんやりしていて、午後から少しずつ動ける
- 立ち上がると、めまいや立ちくらみがする
- 疲れやすく、ちょっとしたことでぐったりしてしまう
- 動悸、頭痛、腹痛などが繰り返される
- 顔色が悪く、青白い
「サボり」「気持ちが弱い」と誤解されやすいのですが、これは意志や根性の問題ではありません。
自律神経という、意思でコントロールできないシステムの不調です。
東洋医学での捉え方

漢方・東洋医学の視点では、起立性調節障害の背景にあるものを主に次のように考えます。
気虚(ききょ)——エネルギーが不足している
「気(き)」とは、体を動かす根本的なエネルギーです。 気が不足すると、立ち上がる力が弱くなり、血液を上へ送る「気」の働きが追いつかなくなります。
疲れやすい、声が小さい、やる気が出ない、といった症状と重なります。
陽虚(ようきょ)——体を温める力が弱い
「陽(よう)」の力が弱いと、手足が冷え、体の循環が不活発になります。
思春期は体の成長が急激で、陽気が追いつかないことがあります。特に冷え症の子どもに多く見られます。
脾虚(ひきょ)——消化吸収の力が弱い
東洋医学の「脾(ひ)」は、食べたものからエネルギーを作り出す機能を担っています。
脾が弱いと、たとえ食事をとっていても、体に必要な「気・血」が作られにくくなります。
食欲がない、お腹が弱い、軟便や下痢をしやすいという子どもに多いタイプです。
起立性調節障害に使われる主な漢方薬
起立性調節障害に用いる漢方薬は、お子さんの体質・体格・症状のパターンによって選びます。
同じ「起立性調節障害」でも、お子さん一人ひとりの体質・体格・症状の出方は異なります。
「うちの子はどれが合うの?」という問いに答えるには、実際の様子をじっくりお聞きして、体の状態を丁寧に確認することが必要です。
お子様は「怠けている」ではありません
起立性調節障害は、体の器官に異常がないため「サボり」と見られがちですが、
お子さんは本当につらい思いをしています。
「頑張りたいのに体がついてこない」という苦しさは、心にも大きな負担をかけています。
漢方でできることは、そのお子さんの体の「根っこ」にある弱さを補い、少しずつ底上げしていくことです。
焦らず、でも丁寧に、体が回復していくのをサポートする——それが漢方の役割だと考えています。