「不安感には柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」と聞いて試してみたけれど、思ったほど落ち着かない。
それどころか、お腹の調子を崩してしまった……。そんなお声を、お客様からよくお聞きします。
不安感の漢方薬として名前が知られている柴胡加竜骨牡蛎湯ですが、
実は「誰にでも合う不安の万能薬」ではありません。
中医学では不安感にもいくつものタイプがあり、
柴胡加竜骨牡蛎湯が力を発揮できるのは、そのうちの一つのタイプに対してだけなのです。
こんな不安、心当たりありませんか?

一口に「不安感」といっても、その中身は人によってさまざまです。
- イライラが強くて、感情が爆発しやすい
- お腹がもともと弱く、下剤の入った漢方は負担に感じる
- 不安というより、食欲が出ない・元気が出ないタイプの不調
- 汗をかきやすく、疲れると動悸がしたり嫌な夢をよく見る
- 喉や胸のあたりがつかえるような息苦しさがある
- イライラに加えて、冷えやすく血色が悪い
- まぶたがピクピクしたり、めまいを伴う
- 体が細めで、寝る前になると急に不安が強まる
- 甘いものでホッとしたいくらい、情緒が揺れやすい
同じ「不安」という言葉でも、体の中で起きていることはタイプによって大きく違います。
中医学でやさしく解説:柴胡加竜骨牡蛎湯が効くのは「あるタイプ」だけ

柴胡加竜骨牡蛎湯は、気(き=生命エネルギー)を強く下に降ろし、竜骨・牡蛎で高ぶった精神を鎮める処方です。
さらに強い下剤の生薬(大黄)が含まれており、こもった熱やイライラを一気に排出する、いわば「急性の強いイライラを短期間でしずめる」ための漢方薬です。
だからこそ効果はしっかりしていますが、お腹が弱い方や長期間続けたい方には不向きなのです。
柴胡加竜骨牡蛎湯が合わなかった場合、代表的には次のようなタイプが考えられます。
- 柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう):心臓の下あたりがつまり、メンタルの不調から食欲が出ないタイプ。気を大きく動かすので、急性期を抜けたら切り替えたい処方です
- 桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう):気を下げる働きは柴胡加竜骨牡蛎湯と似ていますが、そこまで強くありません。
ダラダラ汗をかく、疲れると動悸がする、性的な夢をよく見るという方に向いています
- 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう):紫蘇の葉が気持ちをリラックスさせ、不安感をやさしく取りのぞきます。効果はマイルドなので、症状がひどい場合は別の処方を検討します
- 加味逍遥散(かみしょうようさん):イライラによく使われ、血を増やす生薬も含みます。ただし体を冷やす性質があるため、お腹が弱い方は注意が必要です
- 抑肝散(よくかんさん):イライラして瞼がピクピクしたり、めまいが出る方向け。頭から嫌なことが離れない方の気持ちも落ち着けてくれますが、疲労改善の効果は強くありません
- 酸棗仁湯(さんそうにんとう):体が細めで、寝る前に不安が襲ってくる方に。疲れると逆に眠れなくなるタイプにもおすすめです
- 甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう):甘い味の生薬で構成され、疲れている時の情緒不安定によく合います。ただしメンタルの急性症状にはやや弱い処方です
このように見ていくと、柴胡加竜骨牡蛎湯が合わなかったのは、漢方が効かないのではなく、タイプがずれていた可能性が高いことがわかります。
自分でできること
- お腹が弱い方は、冷たいものや生ものを控えて胃腸をいたわる
- 就寝前はスマートフォンを置き、深呼吸を数回してから布団に入る
- 甘いものに頼りすぎず、温かい飲み物でホッとする時間をつくる
- どんな時に不安が強まるか、簡単にメモしておく(タイプの見極めの手がかりになります)
ひとりで見極めるのは難しいからこそ
「自分はどのタイプなんだろう」「今の漢方が合っているのか不安」
これは症状や舌・脈の状態などを丁寧に診なければ、なかなかご自身だけで判断できるものではありません。
厚麗堂薬局には、中医学の専門知識を持ち、不安感のご相談を数多く手がけてきた相談員が在籍しております。
柴胡加竜骨牡蛎湯が合わなかった方も、今の不安がどのタイプに当てはまるのかを一緒に見極め、あなたの体質に合わせて漢方薬を調整していくことができます。
ぜひ一度、ご相談ください。
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