ご家族の様子が少しずつ変わっていく。
思い出の場所を忘れてしまったり、夜眠れずに歩き回ってしまったり。
介護をしている方の胸には、どうしようもない寂しさや不安、
そして「自分がもっとできることはないだろうか」という思いがあるのではないでしょうか。
認知症は、
認知機能が低下してしまう「中核症状」と
感情や行動に現れる「周辺症状(BPSD)」の2つの側面を持ちます。
そして今、漢方医学(中医学)がこの両面に対して、
心と体の両方から支える新しいアプローチとして注目されています。
中核症状への漢方の考え方 〜「脳を養い、流れを整える」〜

記憶があいまいになる、判断が難しくなる、言葉が出にくくなる——。
こうした中核症状は、脳細胞の変性によって起こります。
漢方ではこれを「呆病(ほうびょう)」と呼び、
その背景に「脳髄の不足」や「気血の巡りの滞り」、
「痰湿(たんしつ:老廃物や余分な水分の滞り)」などが関係していると考えます。
たとえば、
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思考力や記憶力の低下が目立つ方には「肝腎を補う」処方(七福飲など)が、
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頭の重さやぼんやり感が強い方には「血流を促し、老廃物を流す」処方が、
選ばれることがあります。
これらは脳の栄養状態を整え、
日々の生活の中で少しずつ「その方らしさ」を取り戻すサポートをしてくれます。
■ 周辺症状(BPSD)へのやさしい漢方の力

介護をされる方にとって、
いちばんつらいのが「周辺症状」かもしれません。
夜眠らない、不安が強い、怒りっぽくなる、幻覚や徘徊が見られる——。
ご本人も苦しんでおり、
ご家族も心身ともに疲れ切ってしまうことがあります。
西洋医学では向精神薬を使うこともありますが、
眠気やふらつきが出て転倒の心配が増えることもあります。
その点、漢方薬は体全体のバランスを整えることで、
比較的やさしく作用し、穏やかに気持ちを落ち着かせていくのが特徴です。
たとえば、
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気力が落ちて不安やイライラが強いときは「気を補い、血を巡らせる」処方、
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興奮や妄想が目立つときは「体内の熱を鎮め、痰(たん)を取り除く」処方、
が選ばれることがあります。
「眠れない夜が減った」「笑顔が少し戻ってきた」——。
そんな変化が、ご本人だけでなく介護するご家族の心も少しずつ軽くしてくれます。
■ 「人をまるごと見る」中医学の視点

認知症では、中核症状と周辺症状が複雑に絡み合います。
「記憶があいまいになる → 不安になる → 夜眠れない → イライラする」
といったように、ひとつの症状が次の不調を引き起こすのです。
漢方では、こうした個々の症状を分けて見るのではなく、
「その方全体のバランス」を診て処方します。
同じ“認知症”でも、冷えが強い方・のぼせがある方・眠れない方など、
体質によって使う漢方薬は全く異なります。
だからこそ、「今の状態」に合わせたオーダーメイドの処方が大切なのです。
〜ご家族の心も、支えの対象です〜

認知症のケアは、薬だけで解決できるものではありません。
しかし、漢方には
「ご本人の心と体をやわらげる力」と「介護するご家族の心を軽くする力」
があります。
漢方薬を上手に取り入れることで、
日々の生活に少しずつ穏やかさを取り戻すことができるでしょう。
もし「薬だけでは難しい」「穏やかに過ごしてほしい」と感じたら、
漢方専門の相談を受けてみるのも一つの選択です。
最後までお読みくださり、ありがとうございました
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