何度起こしても布団から出てこない。
やっと起きたと思ったら、顔色が悪くてめまいがすると言う。
「サボっているだけなんじゃないか」と思ってしまう一方で、「そんなはずはない」とわかっている自分もいる。
学校に欠席の連絡を入れる朝、申し訳なさと情けなさで胸がぎゅっと締め付けられる……。
そんな毎日を過ごしていらっしゃる親御さんは、決して少なくありません。
こんな様子はありませんか?
- 朝はぐったりしているのに、夕方から夜になると元気になる
- 立ちくらみ、めまい、動悸がある
- 顔色が青白い、食欲がわかない
- ちょっと動いただけで疲れてしまう、頭痛や腹痛を訴える
- 本人自身も「やる気が出ない自分」を責めて苦しんでいる
もし当てはまるものがあれば、それは「怠け」ではなく、体からの正直なサインかもしれません。
現代医学から見た「起立性調節障害(OD)」
まず知っておいていただきたいのは、これがれっきとした体の病気だということです。
起立性調節障害(OD:Orthostatic Dysregulation)は、自律神経がうまく働かず、立ち上がったときや朝の時間帯に血圧や心拍の調整が追いつかなくなる状態です。
軽症も含めると中学生・高校生の約1割にみられるとされ、不登校のお子さんの3〜4割にODが併存しているという報告もあります。
つまり、決して珍しいものでも、気持ちの弱さで片づけられるものでもないのです。
中医学から見た「朝、動けない」体

中医学では、朝起きられないという状態を、気合いや根性の問題としては捉えません。
注目するのは「気(き)」と「陽気(ようき)」の巡りです。気とは、体を温め、動かすためのエネルギーのようなもの。
本来、朝は体の中の陽気がすっと立ち上がり、心と体を目覚めさせる時間帯です。
ところが思春期は、体がぐんと成長するために「血(けつ)」
体を栄養する液体成分がたくさん必要とされる時期。
気と血のバランスが崩れやすく、朝、陽気がうまく立ち上がってこないことがあります。
さらに、胃腸の働き(脾胃・ひい)が弱っていると、気や血そのものを十分につくり出せず、朝の不調がより強く出てしまうこともあるのです。
そしてここに、見落とされがちな悪循環があります。
体がだるくて動けない日が続くと、脾(消化・吸収を担う臓腑)の働きはさらに落ちてしまいます。
脾が弱ると、水分代謝もうまくいかなくなり、「湿(しつ)」という余分な水分の停滞が体にたまりやすくなります。
これがいわゆる「脾虚湿盛(ひきょしつせい)」という状態で、体が重だるく、頭がぼーっとし、やる気そのものが出にくくなります。
動けないから脾が弱り、脾が弱るから湿がたまり、湿がたまるからますます動けなくなる
臥床や活動量の低下が長引くほど、この悪循環でODが慢性化・重症化しやすくなるのです。
つまり、お子さんの体は今、成長・不調・悪循環という三重の負荷のなかで、精一杯がんばっている状態だと言えます。

おうちでできること
- 朝は急かさず、白湯など温かい飲み物でゆっくり体を目覚めさせる
- 胃腸に負担をかけない、消化のよい朝食を少量からとりいれる(脾を助け、湿をためない食養生に)
- 夜更かしを頭ごなしに責めず、「休んでいい」と思える雰囲気をつくる
- 完全に寝たきりにせず、座る・短く歩くなど無理のない範囲で体を動かす機会をつくる
- 気を巡らせるツボ「合谷(ごうこく)」を、親子のスキンシップとして軽く押してみる
どれも小さなことですが、「体を責めない」というまなざしそのものが、お子さんにとって一番の養生になることもあります。
一人で抱え込まなくて大丈夫です
とはいえ、お子さんの体質や状態は一人ひとり違いますし、「これでいいのか」と手探りのまま毎日を過ごすのは、本当に心細いことだと思います。
現代医学の検査・治療と、体質から整える漢方は、決して対立するものではありません。お子さんの体質に合わせた漢方薬や養生法を、一緒に探していきませんか。
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