起立性調節障害(OD)と漢方

朝起きるのがつらく、立ちくらみや頭痛、動悸に悩まされる。

学校に行けない日が続き、午後からは元気でも、朝になるとまた体調が悪くなる

このような症状が見られる場合、起立性調節障害(OD)の可能性があります。

 

起立性調節障害とは?

起立性調節障害は、主に思春期の子どもに見られる自律神経の不調による病気です。

血圧や心拍の調整がうまくできず、立ち上がると血圧が急に下がる、

逆に血圧が急に上がる、脳に十分な血液が送られずに貧血のような症状が出るなど、多くの体調不良を引き起こします。

 

 

主な症状

 

朝起きられない

立ちくらみ、めまい

動悸や息切れ

頭痛、全身のだるさ

食欲不振(特に朝)

夜に元気になり、寝つきが悪い

イライラしやすく、集中力が低下

 

病院で検査を受けても、血液検査やMRIでは異常が見つからないことが多いため、

「怠けているのでは?」と誤解されることもあります。

しかし、これは自律神経の乱れによる病気であり、決して気のせいではありません。

 

 

西洋医学の治療とその課題

一般的に、起立性調節障害の治療では昇圧剤(血圧を上げる薬)が使われることがあります。

しかし、すべての患者に効果があるわけではなく、頭痛や動悸などの症状が十分に改善しないケースも少なくありません。

また、起立性調節障害にはさまざまなタイプがあり、血

圧が下がるもの、逆に上がるもの、血圧に変化がないものなど、症状が一律ではありません。

そのため、一般的な薬では対応しきれないことが多いのです。

 

漢方が有効な理由

西洋医学では「血圧」や「脈拍」に注目して治療しますが、

漢方では「体全体のバランス」を整えることを重視します。

起立性調節障害の子どもたちを観察すると、多くの場合、以下のような特徴が見られます。

 

成長のエネルギーが十分に発揮されていない

自律神経のバランスが崩れ、血流が不安定になっている

消化器が弱く、栄養をうまく吸収できていない

 

漢方では、これらの問題を個別に見極めながら治療を行います。

つまり、「血圧を上げる」ことだけに注目するのではなく、

「体の成長を促し、本来のエネルギーを引き出す」ことを目的とします。

 

 

起立性調節障害に用いられる漢方

 

起立性調節障害の治療では、体質に合わせた漢方薬を選ぶことが大切です。

代表的な処方には以下のようなものがあります。

 

① 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

立ちくらみやめまい、動悸がある場合に用いられる処方。水分代謝を整え、自律神経のバランスを改善します。

 

② 五苓散(ごれいさん)

むくみや頭痛が強い場合に使われます。体内の水分バランスを調整し、スッキリとした目覚めを促します。

 

③ 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

疲れやすく、食欲がない場合に適しています。胃腸を元気にし、体力を回復させる働きがあります。

 

④ 小建中湯(しょうけんちゅうとう)

冷え性で、胃腸が弱く、エネルギー不足の子ども向け。消化機能を改善し、体を温めます。

 

⑤ 半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)

めまいや頭重感が強い場合に用いられる処方。特に胃腸が弱い子に向いています。

 

 

症例紹介

ケース1:中学1年生の男の子

部活の怪我の後、朝起きられなくなり、昇圧剤を服用するも改善せず。漢方治療を始めて3ヶ月後、朝スムーズに起きられるようになり、体力も回復。

ケース2:冷え性の中学2年生の女の子

頭痛とめまいで朝起きられず、夜には口の中が熱くなるという症状があった。漢方で体のバランスを整えた結果、朝の不調が軽減。

まとめ

起立性調節障害は、西洋医学だけでは治療が難しいことが多く、漢方によるアプローチが有効です。

当店では、お子さまの体質に合わせた最適な漢方を提案し、根本的な改善を目指します。

お子さまの健やかな成長を漢方の力でサポートいたします。

 

気になる方は公式LINEからご連絡お待ちしております