
〜中医学では“心”がカギになります〜
「夏になると、アトピーが悪化してつらい…」
そんなお声を毎年たくさんいただきます。
汗をかくとムズムズして、寝ている間に掻きむしってしまう…。
日中もかゆくて集中できない…。
実はこの“夏のアトピー悪化”、中医学ではある臓腑の働きと深い関係があると考えられています。
それが、**「心(しん)」**です。
■「痛みやかゆみは心と関係している」ってどういうこと?
中医学にはこんな言葉があります。
「諸痛痒瘡 皆属於心(しょつうようそう みな しんにぞくす)」
──「痛み・かゆみ・皮膚トラブルは“心”と関係がある」という意味です。
中医学で考える「心」は、単なる心臓ではなく、
・精神活動(メンタル)
・血のめぐり
・睡眠や体温のバランス
など、広い意味を持つ臓腑です。
夏は暑さで「心」に熱がこもりやすく、
その影響が皮膚や神経に出てしまうのです。
■なぜ夏にアトピーが悪化するの?
こんな変化が体の中で起きています:
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熱がこもる → 皮膚に炎症や赤みが出る
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血の巡りが悪くなる → 傷の治りが遅くなる
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眠れない → 免疫力が落ちる
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かゆみが悪化する → 掻いてさらに悪循環に…
もともと「心」の働きが弱いタイプの方や、ストレスを感じやすい方は、夏のダメージを受けやすい傾向があります。
■中医学的なアプローチ:夏のアトピーに使われる漢方薬
夏のアトピーに対して、体の内側から整える漢方薬には以下のようなものがあります。
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黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
→ 心の熱を冷ます。赤みやほてりが強い方に。
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温清飲(うんせいいん)
→ 熱を冷ましつつ血の巡りを整え、皮膚の修復力を高める。
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柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)
→ イライラやストレスで熱がこもるタイプに。
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十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
→ 膿や湿疹が多く、じゅくじゅくしやすいタイプに。
漢方薬は「痒みを抑える」ことがゴールではありません。
かゆみの根っこにある体のアンバランスを整えることで、トラブルが再発しにくい体質へ導くのが目的です。
■お薬だけじゃない!アトピー改善のための日常ケア
漢方薬と一緒に、生活習慣の見直しもとても大切です。
✅ 心を休める睡眠:特に23〜1時は「心のゴールデンタイム」。早めに眠りましょう。
✅ 辛い物・アルコールは控えめに:心に“火”をつけやすい食べ物は、夏は特に注意。
✅ 軽めの運動で巡りをよく:ウォーキングやストレッチなど、気血を流す動きがおすすめ。
✅ ストレス発散を意識的に:呼吸法や湯船でのリラックスタイムを日課に。
■最後に|この夏、「心」を整えるケアを
アトピーの治療というと、どうしても皮膚だけに目が向きがちです。
でも、中医学では**「皮膚は内臓の鏡」**。
とくに夏は“心”が乱れやすい季節だからこそ、心を整えるケアが大切です。
もし、毎年この時期にアトピーが悪化する…という方は、
ぜひ今年の夏は「心にやさしい漢方ケア」を取り入れてみてくださいね。
ぜひご相談お待ちしております