
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)でお悩みの方、
特に不妊に悩まれている方には、漢方治療が一つの選択肢となり得ます。
中医学の視点からPCOSを見ると
、その病態は「腎虚 じんきょ」を基盤としながらも、
「痰湿 たんしつ」や「瘀血 おけつ」が複雑に絡み合っている状態と捉えます。
中医学から見たPCOSの本質
PCOSの中医学的な病態は、根本に「腎精」の不足(腎虚)があります。
腎は生殖や成長発育を司り、生命の根源的なエネルギーを蓄える場所です。
この腎精が不足すると、卵胞の発育が遅滞し、成熟や排卵がスムーズに進まなくなります。
さらに、腎虚は水分代謝の異常を招き、「痰湿」を生み出します。
この痰湿が卵巣に滞留することが、多嚢胞状態の一因となると考えられます。
また、気の巡りが悪くなる「気滞 きたい」や、血行不良である「瘀血 おけつ」も加わり、
排卵障害や月経不順を引き起こします。
根本からの改善を目指す漢方アプローチ
PCOSに対する漢方治療では、
単に症状を緩和するのではなく、体質そのものからの改善を目指します。
そのためには、以下のようなアプローチが有効です。
煎じ薬による調整:
痰湿や瘀血といった「邪実」の要素に対しては
、蒼朮(そうじゅつ)や茯苓(ぶくりょう)で湿を除き、
当帰(とうき)や川芎(せんきゅう)で血行を改善します。これにより、卵巣環境を整えていきます。
補腎薬による根本治療:
しかし、それだけでは不十分です。
PCOSの根本にある「腎虚」に対しては、
植物性の生薬だけでなく、鹿茸(ろくじょう)や亀板(きばん)、鼈甲(べっこう)
といった動物性の補腎薬を併用することが効果的です。
これらの生薬は、生命エネルギーを直接補填する力が強く、生殖機能の根本的な強化に寄与します。
煎じ薬と補腎薬の相乗効果
煎じ薬で邪気(痰湿・瘀血)を取り除きながら、動物性の補腎薬で腎精を補充する
。この「攻めと守り」のバランスの取れたアプローチが、PCOSの体質改善には不可欠です。
そうすることで、月経周期が次第に整い、質の良い排卵が期待できるようになり、妊娠への道が開けてくるのです。
漢方治療は即効性を求めるものではなく、時間をかけて根本から体を変えていくものです。
PCOSによる不妊でお悩みの方で、自然な形での改善を望まれる方は、一度漢方的な視点からのアプローチを考慮されてみてはいかがでしょうか。
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