漢方が教える「腎精」と「陰」のやさしい養生
「最近、顔がほてる」
「夜中に汗をかいて目が覚める」
「些細なことでイライラしてしまう」
そんな変化を感じて、もしかして更年期?と不安になる方も多いのではないでしょうか。
中医学では、更年期の不調は単なるホルモンの乱れではなく、
心と体のエネルギーバランスがゆるやかに変化していく過程と考えます。
特に大切なのが
「腎精(じんせい)」と「陰(いん)」という
東洋医学で考えるホルモンです
「腎精」は、あなたの“生命のバッテリー”
腎精とは、体を動かすもとになる根本のエネルギー。
生まれたときに親から受け取った
「命の貯金」のようなもので、加齢とともに少しずつ減っていきます。
40代後半から50代にかけて
、その腎精がゆるやかに減少し、体は新しいバランスを探し始めます。
これが、いわゆる“更年期”のゆらぎです。

ほてりや寝汗の原因は「陰」の不足

腎精の中には「陰」と「陽」という性質があります。
「陰」は体を潤し、熱を冷ます力。
「陽」は温め、動かす力。
更年期にはこの陰の力が不足しやすくなる(陰虚)ため、
相対的に陽が強まり、体の中に“余分な熱”がこもってしまいます。
これが、のぼせ・発汗・寝汗・イライラといった症状の正体です。
また、陰が足りなくなると、心を落ち着ける力も弱まります。
理由もなく不安になったり、涙もろくなったりするのは、
心の潤いが少し減っているサインかもしれません。
「陰」を養うやさしい食養生

漢方では、「陰」を補い「虚熱」を鎮めることが大切です。
おすすめの食材は、体を潤し落ち着かせるもの。
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百合根、白きくらげ
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豆乳、豆腐
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黒ごま、松の実、枸杞の実
などが代表的です。
反対に、辛い物や刺激の強い食品、アルコールは熱を助長するため控えめにしましょう。
よく使われる漢方薬の一例
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六味丸(ろくみがん):腎の陰を補う基本の処方
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杞菊地黄丸(こぎくじおうがん):目の疲れやほてりを伴う方に
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加味逍遙散(かみしょうようさん):イライラ・不眠・のぼせを感じる方に
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天王補心丹(てんのうほしんたん):動悸や不安感が強い方に
自分らしい更年期を過ごすために
更年期は腎精の変わり目であり、新たなバランスを見つける時期。
かつて中国の書物『内経』には、女性は35歳を過ぎたら身体を労わる養生を始めるべきと記されています。
漢方の知恵は、単なる症状の緩和ではなく、その人らしい生き方を支えるもの。
自分の体質と向き合い、無理のないペースで養生を重ねることが、健やかな更年期を過ごす秘訣です。
今の不調は、身体が次のステージへ移行するための準備期間。
漢方的アプローチを取り入れながら、自分自身を慈しむ時間を大切にしてみてはいかがでしょうか。
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