「高齢出産」という言葉が当たり前になりつつある現代。
キャリアやライフスタイルの変化により、40代で妊娠・出産を望まれる女性は増えています。
しかし、「年齢的に難しいのでは…」という不安や
、なかなか授からないもどかしさを感じている方も多いのではないでしょうか。
西洋医学の不妊治療が進歩する中で、もう一つの選択肢として注目されているのが「漢方」です。
漢方では、妊娠しやすい身体づくり=「妊孕性(にんようせい)の向上」を目指します。
これは、単に子宮や卵巣だけを見るのではなく、
身体全体のバランスを整え、ご自身が持つ自然な力を引き出すことを重視する考え方です。

今回は、ご提供いただいた資料を参考に、40代の妊娠を漢方的にサポートする考え方をご紹介します。
目次
Toggle40代の身体と、漢方の「腎(じん)」の深い関係

漢方において、妊娠に最も深く関わるとされるのが「腎」です。
「腎」は生命力の源であり、生殖や成長、発育を司る重要な臓腑と考えられています。
この「腎」のエネルギー(腎気)や、それを滋養する物質(腎精)は、
加齢とともに徐々に減っていく傾向があります。
資料にもあるように、不妊症の漢方診断では「腎虚証(じんきょしょう)」が非常に多く見られます。
これはまさに、この「腎」のパワーが不足した状態です。
40代では、この「腎」の力を如何に補い、養うかが、妊娠への第一歩となります。
資料を参考に、主な体質別のアプローチを見ていきましょう。
1. 生命力の源を補う「腎気虚(じんききょ)」
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特徴:月経周期の乱れ、腰や膝のだるさ、めまい、耳鳴りなど。
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漢方的考え方:腎気が不足し、身体を支える力が弱まっている状態。妊娠を維持する「土台」が弱いと考えます。
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参考方剤:毓麟珠(いくりんじゅ)
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腎気を補い、血を養うことで、着床しやすいふかふかの子宮内膜を準備し、妊娠を維持する力を高めることを目指します。
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2. 身体を温める力が弱まった「腎陽虚(じんようきょ)

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特徴:月経が遅れがち、冷え症、夜中に何度もトイレに行く、腰痛、おりものが多い、性欲減退など。
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漢方的考え方:身体を温める「陽気」が不足している状態。子宮が冷えている(胞宮虚寒)と考え、受精卵が育ちにくい環境と捉えます。
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参考方剤:温胞飲(おんほういん)、右帰丸(うきがん)
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体内の陽気を補い、子宮を温めて、受精卵が着床し、ぐんぐん育つための「温かい苗床」をつくります。
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3. 身体を潤す力が不足した 腎陰虚(じんいんきょ)

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特徴:月経が早まりがち、のぼせやほてり(五心烦熱)、不眠、動悸、おりものが少ない、腰や膝がだるい。
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漢方的考え方:身体を潤し、卵子や子宮内膜の材料となる「陰液」が不足している状態。
いわば、赤ちゃんを育てる「水」と「栄養」が足りていないと考えます。
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参考方剤:左帰丸(さきがん)
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腎の陰液を補い、血を養うことで、質の良い卵子と、受精卵を包み込む厚みのある子宮内膜を育てることを目指します。
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「腎」だけじゃない、40代のストレスと体質

40代は仕事や家庭での責任が重く、ストレスも多い年代。
漢方では、ストレスによる「肝」の気の流れの滞り(肝気鬱結(かんきうっけつ))も、
不妊の大きな原因と考えます。
月経不順、胸の張り、イライラ、憂うつ感などが特徴です。
この場合は、開鬱種玉湯(かいうつしゅぎょくとう) や逍遥散(しょうようさん)
などで気の流れを整え、心と身体の緊張をほぐしていきます。
また、血流の悪さ(瘀血(おけつ))や、
代謝の乱れによる痰湿(たんしつ)(余分な水分や脂肪)も妊娠の邪魔をすることがあります。
それぞれ、
少腹逐瘀湯(しょうふくちくおつとう)
や
蒼附導痰丸(そうぶどうたんがん) などで、子宮の環境を整えていきます。
漢方相談のススメ~あなたにぴったりの漢方を見つけるために~

ここで重要なのは、ご自身の体質は一つだけではないということです。
「腎虚」がありながら「瘀血」もあったり、「肝鬱」と「痰湿」が混ざっていたりするのが実際のところです。
ブログでご紹介した内容はあくまで一例です。
漢方薬は、その方の「証(しょう)」(現在の体質状態)に合わせて選ぶことが絶対条件です。
舌の状態や脈、お話を伺って総合的に判断する必要があります。
40代での妊娠を望まれる方は、どうぞ一人で悩まず、ご相談ください。
あなたの身体が今、何を必要としているのか、
じっくりと対話しながら、あなただけのオーダーメイドの漢方薬を見つけていくことができます。
年齢はひとつの指標に過ぎません。
漢方の知恵を借りて、
ご自身の身体と向き合い、整え、温め、癒しながら、次の命を迎える準備を整えていきましょう。
あなたの「妊娠の望み」を、漢方がサポートします。
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