「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)でなかなか妊娠できない…」
「ホルモン剤を使わず、体質から整えたい」
そんな思いを抱えている方は少なくありません。
実は、PCOSは漢方の力で改善を目指すことができるのです。
PCOSとは?(現代医学的な視点)

PCOSは、卵巣の中にたくさんの未熟な卵胞が並び、排卵がうまく起こらない状態を指します。
ホルモンのバランスが乱れ、特に「LH(黄体形成ホルモン)」が高く、
「FSH(卵胞刺激ホルモン)」との比率が崩れることで排卵障害が起こります。
また、インスリン抵抗性によって男性ホルモンが過剰になることも多く、
「生理がこない」「周期が長い」「ニキビや体毛が濃くなる」などの症状がみられます。
病院では排卵誘発剤やホルモン治療が行われますが、
薬で一時的に排卵を促しても、体質そのものが整っていないと、妊娠が続きにくいこともあります。
PCOSを中医学ではどう捉えるの?

中医学では、
PCOSは「腎虚(じんきょ)」という土台の弱さの上に、
「痰湿(たんしつ)」や「瘀血(おけつ)」が重なった状態と考えます。
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腎虚 じんきょ:卵の質や排卵のリズムをつかさどる生命エネルギーの不足
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痰湿 たんしつ:代謝が落ち、体に老廃物や余分な水分が溜まった状態
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瘀血 おけつ:血流の滞りで、卵巣や子宮の環境が悪くなっている状態
つまり、「体の土台が弱まり、流れが滞っている」ことが、PCOSの根本原因なのです。
漢方で整える3つのステップ
① 痰湿・瘀血を取り除く

まずは体に溜まった“不要なもの”を外に出すことから始めます。
茯苓(ぶくりょう)や蒼朮(そうじゅつ)で余分な水分を流し、当帰(とうき)や川芎(せんきゅう)で血の巡りを改善。
体の「めぐり」が戻ることで、卵巣や子宮が本来の働きを取り戻しやすくなります。
食事面でも、甘いもの・脂っこいもの・冷たい飲食を控えることが大切です。
湿や熱を生みやすい食生活を整えることで、体が軽く、動きやすくなります。
② 「腎」を補い、卵を育てる力を高める

体をきれいにしたら、次は生命エネルギーの源である「腎」をしっかり補っていきます。
熟地黄(じゅくじおう)や枸杞子(くこし)、山薬(さんやく)などの生薬が、卵の発育を助け、質の良い卵を育てる土台を作ります。
特に、基礎体温のリズムに合わせて「低温期には腎陰」「高温期には腎陽」を補う“周期療法”は、PCOSの体質改善にとても有効です。
③ 妊娠しやすい身体へと導く

「痰湿」「瘀血」が取れ、腎のエネルギーが充実してくると、
排卵が自然に起こりやすくなり、子宮内膜の状態も改善。
体のリズムが整い、「授かる力」が自然と引き出されていきます。
漢方で整えることの本当のメリット

漢方は「妊娠すること」だけを目指すのではなく、妊娠を支える体を育てることを目的としています
そのため、妊娠後の流産リスクを減らし、穏やかな妊娠経過を支えることにもつながります。
ホルモン剤のような急な刺激ではなく、自分の体の力をゆっくり呼び戻していく――。
それが漢方の大きな魅力です。
もちろん、体質改善には数ヶ月〜半年ほどかかることもあります。
でも、あきらめずに取り組んだ先で、
「基礎体温が整ってきた」「排卵が確認できた」「自然妊娠できた」
という嬉しい報告もたくさんあります。
PCOSは漢方で治せる 体質の問題です。
中医学の視点で体を整えていけば、
あなたの体の中にある「妊娠する力」は、もう一度輝きを取り戻します。
焦らず、自分の体に寄り添いながら。
漢方の力で、自然な妊娠への一歩を踏み出してみませんか?